知って得する制作の裏話

製作裏話 その1 2010/08/02

製作裏話 その1

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3Dレンチキュラー印刷でPSPのスリーブケースをつくる

スリーブケースは、ゲームやDVD、CDの外箱の一種で、上面と下面が空いていて、側面4面がある箱です(横が2面空いている場合もあり)。紙でつくられる事が一番多いですが、中の商品を目立たせたい場合などはPETやPP(ポリプロピレン)でつくる(クリアケース)ことも結構あります(PETとPPでは、透明度はPETのほうがあり、やわらかさはPPのほうがあり、軽さはPPのほうが軽く、お値段はPPのほうが安くなります。シートの厚みは0.3ミリぐらいが多いです)。今回のご依頼は、ノベルティとして考えているので、さらに目立ったものにしたく、スリーブケースを3Dレンチキュラーでつくり、PSPソフトの予約特典ノベルティとしたいという内容でした。



レンチキュラーレンズの場合、ケースの中が透けて見えるということは必要ありませんので、あとは重さとやわらかさと値段なのですが、あまりこだわりがないということでしたので、より安く上がるPP製のレンチキュラーレンズ0.3㎜を用いての製作となりました。
レンチキュラーレンズはレイヤー3Dのほかに、フルデプス、モーフィング、チェンジング、アニメーションといった効果が表現できますが、レイヤー3Dとフルデプスの場合と、チェンジングとモーフィングの場合では、レンズ方向が逆目となり、一緒に表現をすると効果が中途半端になります。今回のご依頼は「胸」と「指」が前に出ている3Dとのご要望でしたので、レイヤー3Dとフルデプスを併用することになりました。

スリーブケースをつくる場合(三方背などのクリアケースなども同じですが)、中身に「ぴったりしっくり」くることが求められます。この「ぴったりしっくり」は感覚的な部分が大きいので、中身を借りて実際に見本をつくり、事前にお客様にOKを頂くことが大切です。微妙なサイズ調整は現場の感覚的な機械調整でまかないますので、サイズだけで追わず、見本を実際につくってそれに合わせるという作業をしないと、思わぬ失敗をすることがあります。お手間をかけてしまうのですが、今回も事前に中身をお借りして見本作製をいたしました。
今回のスリーブは、中身の絵柄がなるべく透けて見えないようにとのご要望でしたので、印刷はUVオフセットだけではなく、シルク白の2度刷りを施して、隠蔽性を高めました。この副次効果により、中のすべりが良くなったため、スリーブはややきつめに製作するように変更し、見本出しを行いました。また、このシルクはインキが堅いので、仕上がり一杯に印刷すると加工工程で割れますから、若干小さめに印刷することと、折筋部分には目立たないように計算した上で印刷をしない部分をつくっておくなどの工夫をしてすすめました。

レイヤー3Dや擬似デプス、チェンジングやモーフィングなどのレンチキュラー印刷では、製版用のデータは事前に絵柄ごとにレイヤー分けをしていただいて、絵柄の順番指定とともにご支給いただきます。特に背景部分は、ほかの絵柄で実際には隠れる部分の絵柄も入ったデータを頂く必要があります。しかし実際には、背景の前に複数のキャラクターが並ぶという絵柄の場合、キャラクターのいる位置の画像を抜いた背景データが支給されることはままあります。この場合、こちらで埋める作業をすると別途お金がかかりますので、いったんお戻しして改めてデータを頂くのですが、今回は戻していると間に合わないため、当方で埋める作業をさせていただきました。

余計なお金を使っていただくことにもなり、この辺のところは実際に作業をしたことがないとわかりにくい部分なので、しつこいといわれるぐらいに丁寧な説明でも、申し上げることが必要だなと反省した点です。

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